【2020~2021年最新版】国内の電動キックボード実証実験まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大により、ソーシャルディスタンスを確保できる移動手段の確保が緊急の課題となった2020年。次世代の移動手段として、近年話題となっている電動モビリティの中でも、特に電動キックボードに注目が集まっています。

人口の多い都市部では、公共交通機関での移動はソーシャルディスタンスの確保が難しいことが多いもの。そんな中、密を避けられる新しい移動手段として、電動キックボードのシェアリングシステムのサービス開始が期待されているのです。

国内でのシェアリングシステムの普及が待たれている電動キックボード。2020年から2021年にかけての、電動キックボードに関する最新トピックと最新動向について、詳しくご紹介します。

国内での電動キックボードの扱いと普及状況は?

電動キックボードは、日本の法律では原動機付自転車に分類される小型モビリティです。そのため、現時点では、公道での走行に課題が残されています。

小型モビリティのシェアリング事業は近年、急速に拡大しています。電動アシスト自転車のシェアリングサービスは、東京都内などをはじめとした一部の地域ですでに導入され、新しい移動手段として浸透してきています。

電動キックボードも同じように、公道での移動手段として、シェアリングサービスでの事業展開が期待されています。

密を避けて移動でき、移動の自由度が高い電動キックボード。市場規模の拡大が見込まれる電動キックボードシェアリングサービスの国内での扱いと、普及状況を紹介します。

電動キックボードの国内における扱い

電動キックボードは、日本国内では原動機付自転車と同じように扱われています。つまり、メーカーが販売している電動キックボードの車体そのままでは、公道は走行できません。まずナンバープレートを取得して取り付ける必要があります。そして、ウインカーなどを装備することで初めて、公道での走行が可能になるのです。

また当然、電動キックボードを運転するためには免許が必要です。さらに、原動機付自転車の走行時と同様に、ヘルメットの着用も義務付けられています。

手軽な移動手段として、海外ではシェアリングシステムが広く普及している電動キックボード。しかし、日本においては法規制によって、気軽に利用できないのが現状なのです。

電動キックボードの国内での普及状況 

日本国内においては、道路交通法の規制によって、電動キックボードの普及がすすんでいないのが現状です。また、安全性を問題視する声があるのも事実で、その点に関しての議論も活発になされています。

しかし国内では、同じ小型モビリティの電動アシスト自転車が、すでに広く普及している実績があります。そのため電動キックボードも、安全性や法規制に関する問題点がクリアされれば、新しい移動手段のひとつとしての活躍が見込めると期待されているのです。

電動キックボードには、電動アシスト自転車と比べて軽量で扱いやすいという大きなメリットがあります。

電動キックボードの公道以外での走行は、規制の対象にはなりません。そのため、私有地や一部の公園内などでは自由に走行することが可能です。

2019年以降、大学の構内などエリアを限定した走行実験が実施されてきました。公道での電動キックボードの実用化にむけた取り組みが、徐々に前進してきているといえるでしょう。

電動キックボードの国内普及に向けた課題 

国内での電動キックボードの普及は、主に「マイクロモビリティ推進協議会」が主体となって推進しています。「マイクロモビリティ推進協議会」は、電動キックボードの販売メーカーなどを中心に設立された協議会です。

これまでも、少子高齢化社会がすすむ日本における、手軽な移動手段の拡充が課題とされてきました。さらに2020年には、新型コロナウイルスの拡大により、密を避けた移動手段の必要性が重要視されるようになりました。
現状、国内の法規制では、電動キックボードの走行には免許が必要なため、利用者が限られるという課題が残されています。また公道での電動キックボードの安全性を確認するだけのデータが不十分とされています。そのため、公道を走行できる電動キックボードのシェアリングサービスは、現時点では提供開始されていないのです。

この問題を解決するため、電動キックボードが安全に利用できるための道交法の改正案や、電動キックボードのシェアリングシステムのサービス展開案などについて、政府と「マイクロモビリティ推進協議会」が協議をすすめているのです。

 

公道における電動キックボード実証実験の最新動向


公道における小型モビリティを活用した移動手段の拡充のため、これまでも電動キックボードの実証実験が行われてきました。2019年から2020年にかけては「規制のサンドボックス制度」を利用して実証実験が行われた実績があります。これは「新技術等実証制度」を利用した実証実験です。サンドボックスとは砂場や砂箱という意味で、IT用語ではコンピューター内に安全な仮想環境を構築する技術を差します。

これまで、電動キックボードの実証実験では、場所や期間を限定した上で、実際の利用環境に近い状態で検証が行われました。「規制のサンドボックス制度」を利用することにより、既存の法律などの規制を受けることがない環境で、新技術の利用実験を実施したのです。

その結果を受け、2020年から2021年にかけては、ついに公道における電動キックボードの実証実験がスタートしています。

2020年は普及に向けての大きな前進が見られた年

2020年は、電動キックボードのシェアリングシステムの普及に向けて、大きな前進が見られた年です。

2020年6月には、自由民主党のMaaS議員連盟による小型モビリティに関する会議が開催されました。「マイクロモビリティ推進協議会」のメンバーである電動キックボードメーカーのメンバーも議論の場に加わり、国内での事業展開に最適な規制緩和案についての話し合いがなされました。

2020年2月にイギリスで電動キックボードの規制緩和に関する発表があったことや、新型コロナの影響で三密を避けた移動手段の必要性が重要視され始めたことも、普及に向けての追い風の一因となりました。
そして2020年秋に、公道における初の実証実験が開始されることが発表されたのです。

新型コロナの影響で海外勢は苦戦!撤退企業も

電動キックボードの普及に向けて大きな動きがある中で、新型コロナの影響で厳しい状況に立たされる電動キックボード販売メーカーも出てきました。

世界中で電動キックボードのシェアリングサービスを展開しているWind Mobilityの日本法人であるWind Mobility Japanは、2020年4月に販売を終了、5月には法人の解散を発表しました。新型コロナの影響で、電動キックボードの車体を準備できなかったためといわれています。

またLimeやBirdといったアメリカの電動キックボードメーカー大手もWind Mobilityと同じく、日本国内でのサービス展開に苦戦しているとされています。公道での実証実験への参加も予定されていません。

2020年10月に公道での実証実験がスタート

2020年秋に、電動キックボードの公道での実証実験が開始されました。国内では初の、公道での実証実験となります。

今回の公道での実証実験は、実際に電動キックボードの公道での利用開始を視野に入れた、規制革新の推進が目的です。

公道での実証実験は、新事業特例制度を用いて実施されます。新事業特例制度は、認定を受けた実証実験にのみ適用されるものです。そのため、認定を受けていない事業者や個人での公道の走行に関しては許可されていませんので注意が必要です。

公道での実証実験の結果を受けて、国家戦略特別区域法に基づく特例措置における制度見直しの検討が期待されています。

最新!公道での実証実験について詳しく紹介

2019年から2020年にかけて、「規制のサンドボックス制度」を利用して実施された2件の実証実験は、安全性に配慮し、具体的な乗車実績などのデータを取得しました。公道での走行に関する有効な情報が取得できたと高く評価されています。

それを受けて2020年秋から開始された、公道での電動キックボードの実証実験も、電動キックボードの国内での普及に大きく貢献するデータの取得が期待されています。

電動キックボードの行動における実証実験について、それぞれの最新情報を詳しく紹介します。

実施場所:福岡県福岡市、兵庫県神戸市、広島県尾道市、愛媛県今治市の一部エリア
実施期間:2020年10月〜2021年4月頃
実施事業者:株式会社 mobby ride
実施方式:福岡は近隣大学生、神戸は神戸市職員が対象、広島は観光客層など
走行条件:道交法による原動機付自転車と同等(運転免許携帯、ヘルメット着用、ナンバープレート装着等)

広島県尾道市と愛媛県今治市での利用では、JR西日本の観光アプリ「setowa」での利用予約ができます。

広島県尾道市の実証実験では、利用時間は10時からまたは14時からの各3時間で、利用料金は3000円です。

Luupによる公道での電動キックボード実証実験

実施場所:大手町・丸の内・有楽町地区
実施期間:2020年10月27日〜2021年3月中旬
実施事業者:株式会社 Luup
走行条件:道交法による原動機付自転車と同等(運転免許携帯、ヘルメット着用、ナンバープレート装着等)
2020年10月27日から東京都千代田区の一部エリアで実施されています。この実証実験では、レンタル方式の電動キックボードを、車道だけでなく普通自転車専用通行帯を走行することが許可されています。
ポスト・コロナ時代の、新しいまちづくりに電動キックボードが一役買うことを目標とした実証実験です。地域が推進するスマートシティビジョン・プロジェクトの一環として、多様なライフスタイルに対応できる電動キックボードの普及を目指しています。

またLuupは、2020年10月から同じく東京都内の新宿区西新宿でも、実証実験を開始しています。

EXxによる公道での電動キックボード実証実験

実施場所:東京都渋谷区全域、世田谷区全域、神奈川県藤沢市全域、千葉県柏市の一部エリア
実施期間:2020年11月上旬〜2021年3月30日
実施事業者:株式会社 EXx
走行条件:道交法による原動機付自転車と同等(運転免許携帯、ヘルメット着用、ナンバープレート装着等)

EXxによる公道での電動キックボード実証実験は、渋谷区全域と世田谷区全域、神奈川県藤沢市全域と千葉県柏市の一部エリアという広域で実施されているのが特徴です。

合計50台の電動キックボードで実証実験が行われ、特定エリアでは普通自転車専用通行帯の走行が可能となっています。

今後の規制緩和と電動キックボードの普及に期待!

電動キックボードは、新時代の移動手段としての注目が集まっている小型モビリティです。地方の観光地での移動手段としての活躍はもちろん、2020年は、都市部での三密を避けた手軽な移動手段としても注目を集めました。

これまで数年かけて実施されてきた実証実験を受けて、2020年にはついに公道での実証実験の実施にこぎつけた電動キックボード。

コロナ禍という未曾有の出来事の後押しを受け、規制緩和への動きが一気に加速しています。国内での新しい移動のインフラとして、電動キックボードが普及する日も、そう遠くないかもしれません。

今後も引き続き、道交法の規制緩和や、電動キックボードのシェアリングシステムの普及動向から目が離せませんね。

【参考文献】
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/fu2020.pdf
https://www.exx.co.jp/news/20201030/20201030.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000060925.html#:~:text=株式会社EXxが政府の認可受け、初の公道での電動キックボード実証実験開始%E3%80%82,2020年11月から、東京・神奈川・千葉にて実施%E3%80%82
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65233600Q0A021C2LX0000
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202012/0013923097.shtml
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1278647.html